ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第22回
サロンの滞在時間は、【アイ】平均58分。利用にかかる時間の「理想と現実」は?
サロンでの時間は、効率的に早く済ませたい?それとも、ゆっくりと過ごしたい?ホットペッパービューティーアカデミーの「美容センサス2024年上期」(2024年6月発表)から、15~69歳女性のアイビューティーサロンでの滞在時間について徹底解説します。
文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
1. アイビューティーサロンの滞在時間は平均58分
2. サロンの滞在時間は、増加?減少?
3. サロンの利用時間が最も長い年代は?
4. 40代がサロンの利用時間が増加する理由は?
5. サロンで過ごす時間の理想と現実は?
6. 会計時間の短縮で、タイパと顧客満足の実現も!
1. アイビューティーサロンの滞在時間は平均58分
最初にヘアサロン、ネイルサロンなども含めて各ジャンルのサロンごとに「利用にかかった時間」を見比べてみましょう。今回の調査では、サロンに入店してから退店するまでにかかった時間を調査しています。
利用にかかった時間が最も長いのは「ヘアサロン」(美容室)で84分、続いてネイルサロン(70分)。最も短いのは「エステ_脱毛」の57分です。
「アイ」は、1時間弱(58分)です。隙間時間にサクっと行ってみようという気持ちになりやすいかもしれませんね。ネット予約の対応や、予約枠を見直すことで集客のチャンスが増える可能性もありそうです。
2. サロンの滞在時間は、増加?減少?
アイビューティーサロンの滞在時間を時系列でみてみましょう。2023年まではサロン利用にかかった時間は上昇傾向にありますが、2024年には減少しており過去4年で最も利用時間が短くなっています。
これは、アイビューティーサロンを利用する人が年々増加することで、利用者層に初心者が占める割合が高くなっていることも影響しているのかもしれません。初心者のお客さまの「まずはお試し」的な利用がサロンの利用時間の短縮に影響したとも考えられます。
3. サロンの利用時間が最も長い年代は?
今度は年代別にサロン利用にかかった時間を見比べましょう。中心層となる年代の女性は利用時間が短く、時短志向が高いことが分かります。例えば、カウンセリングトークを型化するなどで、効率よくご提案できるようになるでしょう。
また、このデータからは、20代、30代のサロン利用の中心層となる年代の女性は時短志向が高いことが分かります。例えば、カウンセリングトークを型化し、効率よくご提案できるようにすることでサロンでの滞在時間を短くすることもできるでしょう。
4. 40代がサロンの利用時間が増加する理由は?
サロン利用にかかる時間は、女性全体で時短の傾向が見受けられますが、年代別に見ると40代女性は真逆の結果になっています。2022年が59分、2023年が61分、2024年が62分と年々増加しているのです。
先ほどご紹介したように40代女性はまつげエクステの利用が他の年代以上に高いことや、「ホットペッパービューティー」の「フリーワード検索ランキング」では、「バインドロック」や「LEDエクステ」など高単価なまつげエクステのメニューが40代の検索上位にあがる傾向にあります。
加齢によって「まつげが切れやすくなった」「まつげが細くなった」といった悩みも高まる年代のため、より高単価のメニューを利用したり、施術前後にトリートメントなどの追加メニューを頼んだりといったこともあるかもしれませんね。
5. サロンで過ごす時間の理想と現実は?
最後に「サロン利用にかかる時間の理想」と「実際にサロン利用にかかった時間」とを比較してみましょう。どの年代も理想の時間は、実際にかかっている時間よりも短く「タイパ」(タイムパフォーマンス:時間対効果)のニーズが高いことが分かります。
特に40代は先ほどご紹介した通り、他の年代以上にサロンの利用時間が長いのですが、お客さまはそこに満足しているわけではなく、より効率の良いサロンでの滞在時間を求められていることが分かります。
6. 会計時間の短縮で、タイパと顧客満足の実現も!
それではどうすればサロンの滞在時間を短くすることができるのでしょう?実は会計など施術以外の時間を短くする工夫をするのも方法の一つです。
「ホットペッパービューティー」の「スマート支払い」では、事前に予約したメニューから当日の変更分(メニューや金額の変更、店販の購入)を反映し、ボタンひとつで決済が完了します。(スマート支払いはこちら )
スマート支払いを実際に利用して、1回の会計(金額確認から決済完了まで)がどのくらい短縮されたのかをサロンに聞くと、「3分以上短縮」が64.0%という結果もあります。(サロンボードアンケート)スタッフがレジを打つ時間や、お客さまがお財布からお金やカードを出す時間などが削減できサロンでの滞在時間の時短につながるのです。
また会計が短縮されたことによって、サロンから「余裕をもって笑顔でお見送りができるようになった」、「他の接客のヘルプや,カウンセリングに時間をかけれるようになった」など接客の質の向上につながるといった効果もあるようです。
●データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー
調査期間::2024年2月1日(木)~2月12日(月)
調査対象:全国、人口20 万人以上の都市に居住する15~69 歳の男女各6,600人(本文では女性のデータを使用)
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)