ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第19回
美容に関する都道府県別ランキング!アイビューティーサロン利用率No.1の県はここだ!
ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。今回は20~39歳の全国2万1,300名の女性に聞いた「【都道府県別】20代・30代女性の美容意識・実態調査」(2024年8月発表)をもとに、美容に対する都道府県別の消費動向を解説します!美容サロンや化粧品、ホームケア製品に対する投資がどの地域で高まりを見せているのか。そして、アイビューティーサロン利用率が最も高い県はどこなのか。地域ごとの美容トレンドや消費者意識の変化を、データとともに解説します。
文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
1. 美容サロンへの投資額が最も高い東京都
2. 化粧品への投資が急増した大阪府
3. ホームケアへの投資は大阪府、島根県、愛知県が大幅ランクアップ
4. アイビューティーサロン利用率で全国トップの東京都
5. 徳島県がアイビューティーサロンの利用金額で全国1位
6. 今後のサロン利用意向、1位は沖縄県
1. 美容サロンへの投資額が最も高い東京都
美容サロンに通うための3カ月あたりの平均利用金額で、東京都が全国1位となりました。東京都では、美容室に加え、ネイルやリラクゼーション、エステなど、幅広い美容サロンを利用する人が多く、そのため利用金額も高くなる傾向にあります。また、新型コロナウイルス感染症の分類が5類に移行し、外出制限が緩和されたことで、サロンへの通いやすさが向上したことも、利用金額の増加に寄与していると考えられます。
2位の富山県は、3世帯の同居率が高く、子育てと仕事の両立がしやすい地域として知られています。女性の就業率が高いことが、「身だしなみを整える」意識を促進し、結果として美容サロンの利用金額を押し上げる要因になっているのではないかと考えられます。
2. 化粧品への投資が急増した大阪府
大阪府が化粧品にかける金額で全国1位となり、3カ月あたりの平均利用金額は5,003円に達しました。前年の33位からの大幅なランクアップです。大阪の都市部では、多様な化粧品ブランドや商品が手に入れやすい環境にあります。この1年で、外出制限が緩和されて、イベントや外出の機会が増えた影響によって、化粧品の需要が増加したことが考えられます。
また2位にはここでも富山県がランクイン!サロン利用だけではなく、美容のモノ消費に対する意欲が高いことがうかがえます。
3. ホームケアへの投資は大阪府、島根県、愛知県が大幅ランクアップ
続いてはホームケアにかける金額ランキングを見ていきましょう。トップ3にランクインしたのは、大阪府、島根県、愛知県の3つの都道府県です。これらの地域はいずれも前年から大幅に順位を上げています。
大阪府は化粧品購入額で1位になったことに続き、ホームケア製品でも1位を獲得しました。美容家電や美容グッズへの関心が高まっていることが伺えます。コロナ禍で自宅での美容ケアが定着したことに加え、外出機会の増加により、さらに自宅ケアを充実させたいと考える人が増えているのでしょう。
2位には島根県がランクインしました。島根県は年間を通じた高い湿度や短い日照時間、有名な温泉など、美肌を育む環境が揃っています。こういった地域特性が美容への関心を高め、ホームケア製品への投資意欲を引き上げている可能性があります。
3位の愛知県は美容トレンドの発信地としても知られており、「名古屋巻き」という一世を風靡したヘアスタイルがその一例です。大人気の美容機器ブランドの本社もありますね。高品質な美容家電やグッズに対するニーズも高そうです。
4. アイビューティーサロン利用率で全国トップの東京都
東京都がアイビューティーサロンの利用率で全国1位となりました。コロナ禍以降、特に目元の美容が注目され、アイビューティーサロンの利用が増加しています。まつげエクステンション、まつげパーマ、眉毛カットなどのメニューは、時短美容を求める働く女性たちに人気が高いようです。
さらに、東京都は高単価から低単価まで、幅広い価格帯の美容サロンがそろっていることや、個店から大手チェーン、複合サロンまで、多様な業態が展開されていることも利用者の選択肢を広げ利用率の高さにつながっていると考えられます。
5. 徳島県がアイビューティーサロンの利用金額で全国1位
アイビューティーサロンでの1回あたりの利用金額で、徳島県が全国トップに立ちました。トップ5にランクインしたのは、いずれも都市部ではなくローカルエリアにある点が注目されます。
これらの地域では、アイビューティーサロンの利用率自体がそれほど高くありませんが、利用している人たちは美容への意識が高く、その結果、利用金額が高くなっていると考えられます。つまり、これらの地域の顧客層は、美容に対して積極的に投資する上顧客層であり、今後の顧客獲得がさらなる上顧客層の増加につながると期待されます。
6. 今後のサロン利用意向、1位は沖縄県
最後に今後のアイビューティーサロンの利用意向ランキングを見ていきましょう。1位は沖縄県で28.5%と高い意向を示しています。沖縄県のアイビューティーサロン利用率は全国9位と決して低くはありませんが、さらに多くの潜在的な顧客層が存在しており、今後の市場の拡大が期待されます。沖縄の高温多湿な気候により、汗でメイクが崩れやすいため、まつげエクステンションやまつげパーマでマスカラが取れる心配を減らしたいというニーズも高まっているのかもしれませんね!
●データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー
「【都道府県別】20代・30代女性の美容意識・実態調査」( 2024年8月)
調査期間:2024年3月
調査対象:全国の20~39歳の女性2万1,300人
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)