施術中は話したい?話したくない?サロンのリピート・失客は、「会話」で決まる? 美容室では「会話が嫌で同じ美容室にもう行かない」は44.1%に!

 

   ホットペッパービューティーアカデミー研究員  田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第18回 

施術中は話したい?話したくない?サロンのリピート・失客は、「会話」で決まる? 美容室では「会話が嫌で同じ美容室にもう行かない」は44.1%に!

 

ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。「サロンで会話をしたいのか?」、「(会話する場合は)どんな会話をしたいのか?」が気になるサロンの方は多いのではないでしょうか?今回は過去1年間に美容室を利用した男女2,000人に実施した「美容室の会話に関する調査」(2024年5月発表)をもとに、アイビューティーサロンでの「会話」について考えていきましょう。

 

文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)

 

<目次>
1.  サロンでは、話したい?話したくない?
2.  「会話が良かったから、サロンをリピートした」は57.2%!
3.  スタッフとの会話で楽しかった/役に立った話題は?
4.  「会話」が失客の原因になることも!?
5.  サロンで話したくない話題は?
6. その話題、「定番」だと思っていませんか?

 

1.   サロンでは、話したい?話したくない?

 

 

「美容室で会話をしたい人・計」(「会話をしたい」「多少は会話をしたい」)は、47.2%。「会話をしたくない人・計」(「会話をしたくない」「あまり会話をしたくない」)は52.9%で、会話をしたい人としたくない人とは、ほぼ半数半数になります。

ただし、お客さまのその日の気分によっても、「話したい」か「話したくない」かの気持ちは変わるものです。「このお客さまは話したくない人だ」と決めつけないことは大事でしょう。

私もアイビューティーサロンでは、施術中にスタッフさんとよく話す日もあれば、施術中に寝てしまっている日もあります(笑)

 

2.   「会話が良かったから、サロンをリピートした」は57.2%!

 

 

美容師さんとの会話が良かった/楽しかったから、同じ美容室に「また行こう」と思ったことはあるか?という質問に対しては、全体で57.2%が「ある」と回答。

サロンでの会話は、次回以降の継続利用に大きく影響していることが分かります。

特に20代は6割以上が「ある」と回答していることから、若年層のリピート率アップには大切ですね。

 

3.  スタッフとの会話で楽しかった/役に立った話題は?

 

 

美容師との会話で楽しかった/役に立った話題では、「髪の悩み」「自宅での髪のケア」が男女とも上位にランクイン。自由回答では、「髪の癖を抑える方法」「自分に合った普段の髪の乾かし方」など、「髪のプロ」ならではの情報提供を求めている人が多かったです。

私もアイビューティーサロンで、その日のまつげの状態を見ながら「なぜ今回マツエクが取れやすくなっていたのか?」を説明のうえ、自宅ケアのアドバイスをしてもらったことがありました。スタッフさんの説明は説得力があり、一気にサロンに対する信頼度があがる結果に。そのサロンに今もリピートしていますよ!

 

 4.  「会話」が失客の原因になることも!?

 

 

お客さまは会話がきっかけでリピートすることもあれば、逆に失客につながってしまうことも!美容師との会話が嫌だった/つまらなかったから、同じ美容室に「もう行かない」と思ったことがある人は44.1%に。「会話が嫌だった」ために、もうそのサロンには二度と行かないと決めてしまうお客さまもいるのです。

 

5.  サロンで話したくない話題は?

 

 

美容師との会話で嫌だった/話したくなかった話題は、自分のこと・プライベートなことが上位に。仕事や学校、恋愛・結婚、家族の話題は特に配慮が必要です。

お客さまの価値観はさまざまであり、あるお客さまにとっては「楽しい」と感じる会話でも、別のお客さまにとっては「嫌だ」と感じてしまう可能性があることも。

もちろん、お客さまから恋人や家族のことが話題に出されることもあるでしょう。その時には、お客さまの話したい気持ちに寄り添って会話をする、という心構えが大切ですね。

 

6.  その話題、「定番」だと思っていませんか?

 

美容サロンはお客さまとスタッフが距離の近い空間で、1時間から2時間過ごす場所です。趣味などプライベートな話題でお客さまと盛り上がることもあるでしょう。

しかし、「彼氏と行くんですか?」「結婚していますか?」など、「良かれ」と思って(会話が盛り上がるだろうと思って)話したことが、お客さまによっては嫌な気持ちになってしまうこともあるので注意が必要です。

同じ話題でもお客さまによっては「楽しいと感じる人」もいれば「嫌な気持ちになる人」がいます。それと同じように同じお客さまでもその日その日の気分によっても「話したいか」「そうでないか」は、変わることがあります。

ライフスタイルが多様化する中では、個々の価値観を尊重することがこれまで以上に重要になってきます。どんな話題を共有したいか、したくないかは、相手との関係性や、場面によって異なりますので、お客さま一人ひとりのニーズに寄り添いながら、サロンの時間を快適に過ごしていただく気遣いこそがサロンのスタッフに求められる接客力でしょう。

 

 

データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー

「美容室での会話に関する意識調査」( 2024年5月)
調査期間:2024年4月(毎年2月に実施)
調査対象:全国、1年以内の美容室利用者、20~49歳の男女(男性500人、女性1,500人)

 

<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)​