ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第14回
ネガティブな内容の口コミも「あったほうがいい」!
お客さまは、リアルな情報を重要視
ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンルの調査を発表しています。今回は2024年3月に発表したばかりの「美容サロンの口コミに関する意識調査」について解説します。
文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
1. サロン選びで重視するのは?
2. 口コミを閲覧する際に、重要視するポイントは?
3. 気になったサロンでネガティブな口コミを見たときには?
4. 口コミを投稿する理由は?
5. ポジティブな口コミを投稿するきっかけとなった具体的な状況は?
1. サロン選びで重視するのは?
美容サロン選びにおいて、口コミはお客さまにとって重要な情報源です。現在使っているサロンに初めて来店する前に、サロン選びで重視するのは、1位は「クーポン・料金」(56.9%)、2位は「ネットの口コミ」(38.2%)、3位は「交通の便が良い/自宅から近い」(30.5%)。
ネットの口コミは、金銭的な便益に次いでカスタマーのサロン選びに重要な情報源となっています。
2. 口コミを閲覧する際に、重要視するポイントは?
サロンの集客を左右する口コミに対して、「ネガティブな口コミが入ったらどうしよう」と懸念するサロンは多いかもしれません。
しかし調査結果からは、「いい口コミも悪い口コミも入っている」ほうが、「いい口コミしか入っていない」よりも、重視していることが分かりました。お客さまは「リアル」な情報へのニーズが高いことがうかがえます。
3. 気になったサロンでネガティブな口コミを見たときには?
では気になったサロンで、ネガティブな口コミを見たときにはどうするのでしょう?最も高かったのが、「ほかに魅力的な内容の口コミが入っていれば総合的に判断し、予約をする」(41.4%)。ネガティブな投稿があるだけで、サロンの利用をやめるわけではないことが分かります。
また重視するポイントの5位に「サロンの返信内容が丁寧」(19.9%)がランクイン。ネガティブな口コミの投稿があったときにこそ、サロンの真摯な対応が求められます。その姿勢をお客さまは見ているのでしょう。
4. 口コミを投稿する理由は?
口コミが集客に大きく影響する中では、「どうすれば、口コミを投稿いただけるか?」と考えるサロンは多いです。お客さまが口コミを投稿する理由の1位は「サロンに感謝を伝えたいと思ったから」(33.4%)。僅差で2位は「サロンのスタッフを応援したいと思ったから」(33.1%)でした。
さらにお客さまが、いい(ポジティブな)口コミを投稿したきっかけを見てみましょう。
5. ポジティブな口コミを投稿するきっかけとなった具体的な状況は?
(ネットでの口コミ投稿者、自由回答を抜粋)
【サロンやスタッフに対する感謝や応援】
「毎回どのスタッフさんに当たっても技術力が素晴らしく、仕上がりのきれいさはもちろん短時間で終わるからです。感謝の意を込めて投稿しています。」(20代)
「サロンのスタッフさんがとてもご親切で丁寧に施術してくださったから、何かの形でお礼を残したいと思ったので。」(20代)
【期待以上の施術や提案】
「予想以上に、かわいく仕上げてくれたので、思わず投稿した。」(40代)
「自分のなりたい髪型を上手に説明ができなくても、納得できる仕上がりになるまでしっかりと対応してくれた。」(40代)
「(これまで)なりたいハイライトの写真をスタッフさんに見せていたが、いつも納得いく仕上がりにならなかった。けれど、今のサロンでは初めて納得いく仕上がりになったので。」(30代)
【丁寧な接客】
「席を離れる際の声掛けなど、気遣いがとても素晴らしかったです。」(20代)
「あまり会話をしなくてもリラックスして過ごせたのが良かったので投稿しました。」(30代)
「ちょっとした会話を覚えてくれていたり、細やかな気遣いをしてくれたから。」(30代)
【サロンを探している人に情報提供したい】
「他の人の参考になると嬉しいから。」(30代)
「通う前の自分が知りたかった情報を、知らせたいと思った。無駄のない対応が良く、気に入ったので書きたくなった。」(40代)
お客さまは、口コミをサロンへの感謝を伝えるためや、スタッフへの応援のために投稿していることが分かりました。自分の感動をぜひ他の人にも伝えたい、サロンのために何かをしたいという、美容サロンを「推す」役割として口コミを活用していると考えます。
●データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー
「美容サロンの口コミに関する意識調査」( 2024年3月)
調査対象:全国の 美容サロン(ヘアサロン・ネイルサロン・アイサロン・リラクゼーションサロン・エステサロンのいずれかを1年以内に利用している)15~49歳の女性2,000人
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)