売上UPは、客単価?それとも来店回数? ポートフォリオ分析で、年代別の売上UPのヒントを解説!

 

   ホットペッパービューティーアカデミー研究員  田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第12回 

売上UPは、客単価?それとも来店回数?
ポートフォリオ分析で、年代別の売上UPのヒントを解説!

 

ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンルの調査を発表しています。今回は、「美容センサス2023年上期<アイビューティーサロン編>」のデータを使って、客単価と来店回数から、年代別に売上の「伸ばし方」を解説します。

 

文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)

 

<目次>
1.     売上UPは客単価?それとも来店回数UP?
2.     来店回数が多い年代は?
3.     【客単価×年間利用回数】分析!売上UPのポートフォリオとは?
4.     各カテゴリーを解説!
5.     【アイサロン】客単価×来店回数ポートフォリオ
6.         年代別の売上UPのヒントは?

 

1.  売上UPは客単価?それとも来店回数UP?

 

サロンの売上UPには、客単価を上げるか、リピートを増やして来店回数をUPするか?どちらも大切で、「どちらを優先すればよいのか?」は悩ましい問題です。まずは年代別に客単価と来店回数の現状をそれぞれ見てみましょう。

 

 

アイビューティーサロンの年代別の客単価は、もっとも高額なのは20代。結婚式などイベント参加やSNSの顔写真投稿など、ボリュームや長さのあるまつげのニーズも高そうです。

まつげパーマとまつげエクステの重ね付けのメニューや、エクステの本数のつけ放題、カラーエクステでおしゃれを楽しむといった使い方も人気です。

 

2.   来店回数が多い年代は?

 

 

次は来店回数(年間利用回数)です。年代別に見ると、40代が最も高いです。加齢とともに、まつげに対して、「切れやすくなってきた」「本数が少なくなってきた」「細くなってきた」といった悩みをもつようになります。

このため、日常のケアとして小まめにサロンへ通うことが増えるのかもしれません。また40代女性はヘアサロンの来店回数も他の年代に比べて多いので、ヘアの施術にあわせてといった使い方もあるでしょう。

 

3. 【客単価×年間利用回数】分析!売上UPのポートフォリオとは?

 

 

客単価、来店回数をどのように伸ばしていけば売上は上がるのでしょうか?こちらの図は、客単価(1回あたり利用金額)と来店回数(年間利用回数)の高低によるポートフォリオです。

オレンジ色の「上顧客ゾーン」は利用金額が高く、年間利用回数も高い。売上が最大化できるお客さまゾーンです。一方、「回数UPゾーン」「単価UPゾーン」「育成ゾーン」にいるお客さまは、「上顧客ゾーン」へ動かすことが売上UPのカギとなります。

 

 4.   各カテゴリーを解説!

 

それぞれのカテゴリーの特徴を解説しましょう。
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上顧客ゾーン(右上)
利用金額が高く、年間利用回数が高いお客さま。売上を最大化するゾーン

回数UPゾーン(右下)
1回あたり利用金額は高いが、年間利用回数は低い年間利用回数UPが必要なゾーン

単価UPゾーン(左上)
年間利用回数は高いが、1回あたり利用金額が低い1回あたり利用金額UPが必要なゾーン

育成ゾーン(左下)
1回あたり利用金額も年間利用回数も低く両方のUPが必要なゾーン

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アイビューティーサロンのデータをマッピングしてみましょう。

 

5.   【アイサロン】客単価×来店回数ポートフォリオ

 

 

アイビューティーサロンの15~19歳、20代、30代、40代をポートフォリオにマッピングしました。30代が<上顧客ゾーン>、40代が<単価UPゾーン>、20代が<回数UPゾーン>、15~19歳が<育成ゾーン>と年代ごとに異なるマッピングに!

 

6.   年代別の売上UPのヒントは?

 

ポートフォリオをもとに年代別の売上UPのヒントを探ってみましょう。

上顧客ゾーン【30代】
客単価と来店回数がそれぞれ高く、売上が最も高いのは30代。15~19歳、20代、40代はどのように売上を伸ばしていけばよいかを下記、参考にしてください。
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回数UPゾーン【20代】
20代は利用金額は高いのですが、年間利用回数が平均よりは低い「回数UPゾーン」に。回数アップには、「リピータークーポン」でお得感を出すのもよいかもしれません。コロナ禍で利用者の増えた「眉毛メニュー」の提案を追加することにより、来店回数を上げる取り組みもありそうです。
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単価UPゾーン【40代】
年間利用回数は多いのですが、利用金額が低い「単価UPゾーン」には、40代がゾーニング。40代は、『ホットペッパービューティー』の「フリーワード検索ランキング」で「フラットラッシュ」、「バインドロック」、「LED」など高単価なまつげエクステの施術が上位にランクインしています(2023年8月時点)。加齢によるまつ毛の悩みに対するボリューム提案は喜ばれそうです。
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育成ゾーン【15~19歳】
15~19歳は、利用金額も年間利用回数も低い「育成ゾーン」です。「学割」クーポンなどを有効に活用して利用の敷居を低くしたり、年代の近い20代に人気の施術などをご提案することによって単価アップに取り組むのもよいかもしれません。

 

今回はアイビューティーサロンでの客単価×来店回数の分析をご紹介しましたが、同じ美容サロンでもジャンルが違えば、マッピングも違う結果になります。ホットペッパービューティーアカデミーの「研究員コラム 」では、他ジャンルの分析も掲載していますので、ネイル併設サロンなどご参考にしていただけますと幸いです。

 

データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー

ホットペッパービューティーアカデミー
美容センサス2023年上期<アイビューティーサロン編>」( 2023年6月)
調査対象:全国の 15~69 歳の男女13,000人
※本寄稿では、15~69歳の女性6,500人を使用

 

<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)​