ホットペッパービューティーアカデミー研究員 田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第12回
15~19歳女性の目元美容への投資に注目!
美容センサス2023年下期発表!
ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンルの調査を発表しています。今回は、「美容センサス2023年下期<美容意識・購買行動編>」をご紹介。女性のメイク購買の経年変化や、目元メイクに対する投資について解説します。
文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)
1. 【女性全体】メイクアイテムの購入率が上昇傾向?
2. 【女性全体】メイクアイテムの購入金額も上昇傾向
3. 15~19歳のメイクアイテム購入金額が大きく上昇
4. 【女性全体】メイクアイテム購入率ランキング発表!
5. 15~19歳女性のメイクアイテム購入は、「目元美容」に集中
6. ワンホンメイクの影響?15~19歳女性のアイシャドウ・アイライナー購入が過去最高
1. 【女性全体】メイクアイテムの購入率が上昇傾向?
コロナ禍で女性のメイクアイテムの購入は大きく落ち込みました。調査では1年間のメイクアイテムの購入率(メイクアイテムを1年間で1個以上購入したことのある比率)を毎年調査しています。
コロナ禍前(2019年)には女性のメイクアイテムの購入率は83.1%でしたが、以降は減少。2021年は73.0%と2019年に比べると約10ポイントも減少しました。一方、2022年、2023年は、スコアが上昇。2023年は75.9%でコロナ禍前と比べると、まだ回復とは言えませんが徐々に回復しているといえるでしょう。
2. 【女性全体】メイクアイテムの購入金額も上昇傾向
次に1カ月あたりにメイクアイテム購入にかける費用(月間購入金額・0円を含む平均)を見てみましょう。こちらも2022年、2023年と上昇傾向にあります。
2023年はマスク着用の規制が大幅に緩和されたため、これまで「マスクで隠れるから」、「マスクが汚れるから」といった理由で購入を控えていた口紅やファンデーションの購入が活発になり、投資する金額が増えたと考えます。
3.15~19歳のメイクアイテム購入金額が大きく上昇
年代別に見ると、15~19歳の月間購入金額が大きく上昇していることが分かります。コロナ禍の行動規制が大きく緩和され、今年はフェスやライブなどの大型イベントも各所で再開されました。華やかに着飾る場が増えたことが、若年層のメイクの購買意欲を高めたのかもしれませんね。
4. 【女性全体】メイクアイテム購入率ランキング発表!
それではメイクアイテム別に購入率を見ていきましょう。1位~10位までを紹介します。どのアイテムも前年から購入率が増加しています。
注目は7位の「口紅・グロス」。コロナ禍前までは1位の「ファンデーション」に続く購買アイテムでしたが、コロナ禍以降、購入率が大きく減少。2023年は順位は7位ですが、前年差5.0ポイント増と最も購入率が伸びました。マスク着用の緩和に伴い、今後も購入率の上昇が見込まれそうです。
5. 15~19歳女性のメイクアイテム購入は、「目元美容」に集中
メイクアイテムの購入金額が大きく伸びた15~19歳女性の購入アイテムを見てみましょう。購入率の1位は「アイシャドウ」、2位は「アイライナー」と目元メイクに対する投資が大きいことが分かります。
目元の美容は、コロナ禍でも「マスクから見える部分の美容」として購入が注目されていましたが、マスク着用が緩和されても、購入は伸び続けています。「アイシャドウ」「アイライナー」といった目元をより華やかに見せるアイテムの購入が特に伸びています。
6. ワンホンメイクの影響?15~19歳女性のアイシャドウ・アイライナー購入が過去最高
興味深いことに15~19歳女性のアイシャドウ・アイライナーの購入率は、コロナ前の2019年よりも大きく上回っており、2023年は過去5年で最も高くなっています。コロナ禍で注目された目元美容がそのまま続いているのに加えて、SNSで話題の「ワンホンメイク」の影響もあるかもしれませんね!
ワンホン(網紅)とは中国のインフルエンサーのことで、アイシャドウとアイラインで、キリっとした目もとをつくるアイメイクが特徴的です。SNSの感度が高い10代女性のメイク購入に影響を与えている可能性が高そうです。
●データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー
ホットペッパービューティーアカデミー
「美容センサス2023年下期<美容意識・購買行動編>」( 2023年12月)
調査対象:全国の 15~69 歳の男女13,000人
※本寄稿では、15~69歳の女性6,500人を使用
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)