美容サロンに求められるサステナブルな取り組みは? サステナビリティに関する意識調査2023発表!

 

   ホットペッパービューティーアカデミー研究員  田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』-第11回 

美容サロンに求められるサステナブルな取り組みは?
サステナビリティに関する意識調査2023発表!

 

ホットペッパービューティーアカデミー 研究員の田中公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンル調査を発表しています。今回は、「サステナビリティに関する意識調査2023」をご紹介。社会一般にSDGsの認知が高まり、企業として取り組むことが当たり前になる中、「美容サロンでの向き合い方」のヒントを解説します。

 

文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)

 

<目次>
1.     【女性】美容サロンでのサステナブルな取り組みで、利用したいものは?
2.     15~19歳女性の4割が「ヘアドネーション」を利用してみたい!
3.     20代、30代女性は「スタッフの労働環境」への関心が高い
4.     【男性】美容サロンでのサステナブルな取り組みで、利用したいものは?
5.     男性の年代別の傾向は?
6.  サステナビリティな取り組みは、リピーター獲得にも?

 

 

1.  【女性】美容サロンでのサステナブルな取り組みで、利用したいものは?

 

 

まずは女性(15~59歳)に「美容サロンでのサステナビリティ/SDGsへの取り組みで、利用してみたいと思うもの」を聞いた結果です。

SDGsに対する認知の拡大とともに、美容サロンに対しても「オーガニックな薬剤」や「リサイクル容器」など、消費者の環境保護への意識が高まっています。それとともに、スタッフに対して「手荒れ防止」や「長時間労働の抑止」など、働き手への配慮ができる美容サロンに対しても高く評価しています。

女性の1位「ヘアドネーションを実施」については、次のデータでもう少し詳しく解説します

 

 

2.  15~19歳女性の4割が「ヘアドネーション」を利用してみたい!

 

 

今回女性で 1 位になった 「ヘアドネーション」は、15~19 歳のスコアが他の年代の 2 倍近くに達しており、Z世代の興味・関心の高さがうかがえます。

自分の髪をヘアドネーションに使用してほしいと髪を伸ばす学生もおり、自ら社会貢献をしたいという意識の高さが調査からも読み取れます。

 

 

3. 20代、30代女性は「スタッフの労働環境」への関心が高い

 

 

年代別の結果も見てみましょう。女性の15~19 歳の 1 位は、「ヘアドネーションを実施」、20代・30 代は「スタッフが長時間労働にならないような配慮」、40代・50代は「オーガニックな薬剤やシャンプー等の使用」と、年代により利用してみたい取り組みの順位が異なります。

20代・30代女性の1位となった「スタッフが長時間労働にならないような配慮」については、スタッフと年齢が近いため、共感しているお客さまが多く、過剰な労働で無理をしてほしくないという気持ちが強いのかもしれません。育児中のお客さまも多いため、子供を持つスタッフに対する理解もあるのでしょう。

 

 

 4.  【男性】美容サロンでのサステナブルな取り組みで、利用したいものは?

 

 

男性の結果も見ていきましょう。男性1 位は「オーガニックな薬剤やシャンプー等の使用」。男女ともTOP5に、スタッフの手荒れ防止や長時間労働抑止への配慮がランクインしています。スタッフの労働環境改善に取り組む美容サロンへの評価が高いと言えます。

 

 

5.   男性の年代別の傾向は?

 

 

女性は利用したいものに関して年代別の差異が顕著に出ていましたが、男性は年代による差異がほぼありません。各年代「オーガニックな薬剤やシャンプー等の使用」もしくは「リサイクル可能な容器の使用」が1位です。

1位、2位は、男性向けの店販にもヒントになるかもしれません。男性の店販購入は女性以上に親和性が高いケースも多いです。環境にやさしいボトルや、肌に負担の少ない薬剤の使用によって、商品に対する好感度が高まる可能性もあります。

 

 

6.   サステナビリティな取り組みは、リピーター獲得にも?

 

 

最後は「あなたが通っている美容サロンが、サステナビリティに取り組むことで印象は変わるか?という質問です。
若年層ほど「とても印象が良くなる」のスコアが高く、年代とスコアが階段状になっている。また、「とても印象が良くなる」と「印象が良くなる」を合わせると、女性の15~19 歳では75.7%で、美容サロンに通う10代後半女性の印象に大きく影響していることが分かります。

 

 

男性も同様、若年層ほど「とても印象が良くなる」のスコアが高く、年代とスコアが階段状になっており、男女とも若年層の顧客の印象をアップすることにつながっています。

若年層ほどサロンへの定着は難易度が高い傾向にありますが、サステナビリティの取り組みがサロンへの印象を良くすることで、リピーターにつながっていくという可能性もありそうです。

 

 

データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー

「サステナビリティに関する意識調査2023」( 2023年11月)
調査対象:全国の 15~59 歳の男女(女性:3,150人、男性:1,800人)

 

<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)​