「まつ毛エクステ」は美容師免許が必要とされてから12年後の、第41回美容師国家試験（筆記）に初めて出題される
「いわゆるエクステンションは、美容師法にいう美容に該当する」という厚生労働省健康局生活衛生課長の通知文書（健衛発第0307001号）が出されたのは、平成20年（2008年）3月7日である。
この日から、「まつ毛エクステンション」を業として行うには美容師免許が必要となった。しかし、突然美容師免許が必要とされても、これまで美容専門学校では「まつ毛エクステンション」をまったく教えてこなかったし、教える先生もいなかった。
そこで「教育プログラムに関する専門的な検討会」をつくり「まつ毛エクステンション教育プログラム」を策定・発表した。それが5年後の平成25年（2013年）6月14日であった。
この教育プログラムは、美容師養成施設において、選択必修科目として「まつ毛エクステンション」を実施するために作成されたもので、公益財団法人日本理容美容教育センターの美容技術理論の教科書に「まつ毛エクステンション」の記述が登場したのも平成２５年からであった。
平成20年（2008年）に健康局生活衛生課長が「まつ毛エクステンション」の施術には美容師免許が必要であると通知して、5年後（2013年）に教育プログラムと教科書が出来て、それから美容学校での教育が開始されたのである。
さらに美容師国家試験の筆記試験に「まつ毛エクステンション」の問題が初めて登場したのは、なんと、それから7年後の令和2年（2020年）3月1日に実施された、「第41回美容師国家試験」からである。
美容師免許が必要とされた課長通知から12年後となる。第41回美容師国家試験以後は、本年行われた第47回美容師国家試験まで、毎回「まつ毛エクステンション」に関する筆記試験問題が出題されている。
「まつ毛エクステンション」の実技試験については、具体的に実施可能な検討が行われているだけで、現在のところ実施のめどが全く立っていない。
では、「まつ毛エクステンション」の筆記問題に関して、第41回美容師国家試験から第46回美容師国家試験までの出題問題と出題傾向を考察してみたい。
第41回美容師国家試験（令和2年）から、毎回出題される択一問題（四択）
《 第41回美容師国家試験、令和2年（2020年）3月1日 》
Q まつ毛エクステンションに関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。
1. まつ毛エクステンションのリペアは、個人差はあるが、通常2～3週間で行う。
2. 衛生面を考えてアイメイクアップは取り除いて施術する。
3. エクステンションの装着は、まつ毛の成長期は避け、成長期の終わりから後退期が始まる時期が最適である。
4. グルーやリムーバーによるアレルギーは、施術後、数分で必ず現れる。（正解）
《 第42回美容師国家試験、令和2年（2020年）9月6日 》
Q まつ毛エクステンションに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. カウンセリングは、1回だけ行う。
2. カウンセリングは、目についてだけ行う。
3. カウンセリングは、施術のリスクについても正しく伝える。（正解）
4.アレルギー反応は、必ず施術中に現れる。
《 第43回美容師国家試験、令和3年（2021年）3月7日 》
Q まつ毛エクステンションに関する記述のうち、正しいものはどれか。
1. エクステンションを接着しやすいように、コンタクトレンズの装着を勧める。
2. リペアは、個人差はあるが、通常6～7週間で行う。
3. アイメイクアップを落としてから施術する。（正解）
4. 過去にアレルギー性の接触皮膚炎を発症しなかった物質では、かぶれることはない。
《 第44回美容師国家試験、令和3年（2021年）9月9日 》
Q まつ毛エクステンションによる接触皮膚炎に関する次の記述のうち、誤っているのはどれか。
1. 初回の施術では発症することはない。（正解）
2. 過去に発症しなかった物質でもかぶれることはある。
3. 刺激性に場合は、片側性の事がある。
4. アレルギー性の場合は、接触した部位を超えて症状が現れることがある。
《 第45回美容師国家試験、令和4年（2022年）3月6日 》
Q まつ毛エクステンションに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. まつ毛の毛周期は、1～2年である。
2. エクステンションの装着は、まつ毛の成長初期が最適である。
3. エクステンションは、地肌から1～2mmほど離してまつ毛に接着する。（正解）
4. リペアは、通常6～7週間で行う。
《 第46回美容師国家試験、令和４年（2022年）9月4日 》
Q まつ毛エクステンションに関する次の記述のうち、正しいものはどれか。
1. エクステンションは、まつ毛の成長初期の装着が最適である。
2. エクステンションは、地肌から3mm以上離して接着する。
3. エクステンションは、通常から2～3週間持つ。（正解）
4. エクステンションを装着しやすいように、眼鏡の代わりにコンタクトレンズの使用を勧める。
美容師国家試験の「まつ毛エクステ」に関する出題傾向と対策
「まつ毛エクステンション」に関する問題は、４択の中から1つを選ぶ出題形式になっている。これまでの出題内容を見ると、必ず出題されるのが、「アレルギーに関するもの」、「まつ毛の毛周期とリペアの時期」、「まつ毛装着時の位置」、「カウンセリング」となっている。
この事から、「まつ毛エクステンション」の試験問題としては、必要なカウンセリングをしっかり行い、アイメイクなどをしっかり落とした状態で、まつ毛の毛周期で成長期は避け成長期の終わりから後退期の始まり時期に、地肌から１～2ｍｍほど離して接着する。
リペア時期は2～3週間で、アレルギーの正しい知識を付ける。今のところは、これだけでしっかり問題に対処できると思われる。
