お客さまが「サロンのリピート」を決める瞬間とは? 技術以外に重視するのは、カウンセリングと〇〇!

【連載】ホットペッパービューティーアカデミー 研究員田中 公子氏が見る『アイビューティー業界』

お客さまが「サロンのリピート」を決める瞬間とは?
技術以外に重視するのは、カウンセリングと〇〇!

ホットペッパービューティーアカデミー研究員の田中 公子です。ホットペッパービューティーアカデミーでは、美容サロンの各ジャンル調査を発表しています。今回はアイビューティーサロンにおける「顧客満足」について。お客さまが「満足」を感じられるポイントは、技術だけではありません。サロンを「リピートしたい」と思っていただけるポイントは何か?MOT(Moment Of Truth)というフレームを使って解説していきます。

文・作表:田中 公子(ホットペッパービューティーアカデミー研究員)

 

<目次>
1.  顧客満足をチェック!「MOT」とは?
2.  アイビューティーサロンの「MOTサイクル」
3.  「サロンをリピートしたい」と思う瞬間は?
4.  来店前のリピートポイント、ネット予約が上位に
5.  店内でのリピートポイント、「受付時の対応が丁寧」が3位に!
6.  会計時の「料金の明確さ」がサロンのリピートのカギに

 

 

1.    顧客満足をチェック!「MOT」とは?

さっそくですが、「MOT」という言葉についてご紹介します。「Moment Of Truth(モメント オブ トゥルース)」の頭文字を取った言葉ですが、日本語訳をすると「お客さまがサービス(サロン)における印象を決める決定的瞬間」という意味です。

お客さまはサロンに不満を感じた場合は、サロンに直接言うことは少ないかと思います。黙って二度とサロンに来ない、というケースのほうが多いでしょう。MOTを使うと、お客さまの満足や不満のポイントを把握することで、お客さまのサロンへのリピートや離脱を防ぐことにつながります。

さっそくMOTを使って、お客さまのサロンにおける満足・不満のポイントをみてみましょう。

 

 

2.    アイビューティーサロンの「MOTサイクル」

アイビューティーサロンのMOT(サービスの印象を決める決定的な瞬間)をみていきましょう。ホットペッパービューティーアカデミーでは、顧客ロイヤルティ協会の協力を得て、サロンの「MOTサイクル」を作成しています。

実はサロンのMOTは「スタッフと接するあらゆるシーン」に存在します。顧客満足はサロンサービスのコアとなる「技術」だけではないのです。お客さまは、スタッフと接する瞬間瞬間ごとに、サロンの印象を決めています。

さらに、スタッフと接するのは「来店時」だけではありません。来店前のサロンを知る(ネット等で情報を確認する)や、口コミなど、サロンから発する情報によっても、お客さまはそのサロンに対して、満足や不満を感じているのです。

それでは、「サロンをリピートしたいと思う瞬間」をこのMOTを使ってデータでみていきましょう。

 

3 .    「サロンをリピートしたい」と思う瞬間は?

お客さまがサロンをリピートしたい、と思う瞬間はどんなときでしょうか?MOTを使った調査のトップ5がこちらの調査結果になります。1位は「施術」2位は「仕上がり確認」と技術に関するシーンが並びます。

一方、3位「カウンセリング」、4位「事前に口コミで確認」、5位「サロンに行く」と、施術以外のシーンについても、2割~3割が「サロンをリピートしたいと思った」と回答しているのです。つまり施術以外のシーンでも、「サロンのリピートを決める」というお客さまがいらっしゃるということです。

3位の「カウンセリング」がしっかりできているサロンは、施術の満足度向上にもつながります。特に「まつ毛」は、お客さまのなりたいお顔のイメージやメイク、雰囲気に「似合わせたまつ毛のご提案」も重要ではないでしょうか。

また4位「事前に口コミで確認」、5位「サロンに行く(サロンにスムーズに行けた)」は、お店に入る前にすでにサロンのリピートを決められているお客さまがいることに驚かれる方も多いかもしれません。

 

4.  来店前のリピートポイント、ネット予約が上位に

それでは今度は「来店前」「来店~仕上がり確認」「会計~来店後」のシーンごとに「サロンをリピートしようと思った」ポイントについて調査の結果をみていきましょう。

まずは「来店前」です。1位は「表示されているメニューの料金が安い」ですが、ほぼ僅差で2位に「ネット予約できる」がランクイン。ネット予約は、お客さまにとっていつでもサロンを予約できるというメリットだけではなく、ネット予約があることによって、「このサロンをリピートしたい」と思うお客さまが半数もいるのです。

5位にも「予約が取りやすい」がランクインしていますが、特に忙しい女性のお客さまにとって、「行きたいときにいつでも予約ができる」というサロンに対しては「便利」以上の「信頼」や「安心」を感じるのかもしれませんね。

3位の「口コミの評判が良い」は、評価の高い口コミだけではなく悪い口コミにもきちんと返信しているのか?などサロンのスタンスが見えやすいポイント。口コミを書かれたご本人だけではなく、新規のお客様、そして新規からリピーターにつながるお客さまにも見られているということを意識すると良さそうです。

 


5.  店内でのリピートポイント、「受付時の対応が丁寧」が3位に!

続いて、店内(来店~仕上がり確認)」についての「リピートしたいと思うポイント」です。

1位「スタッフの技術が高い」、2位「仕上がり確認をきちんとする」、4位「効果を実感できる」と技術に関するシーンがランクインしています。注目は3位「受付時の対応が丁寧」。受付はサロンに入って最初にお客さまがスタッフと接するシーンです。

逆に言うと、面倒くさそうに対応される、受付にスタッフがおらずブザーを鳴らしてもなかなかスタッフが来てくれない…こういった経験をすると、「またこのお店に来たい」とは思わないでしょう。受付一つをとっても、サロンの教育や、サロンのスタンスが垣間見えてくるのです。


5位の「待たされることが少ない」も同じです。待たされることに対しては、「予約をした意味がない」と感じるお客さまが多いです。サロン内でスムーズに施術ができるサロンほど「時間管理がしっかりしている=お任せできる」という信頼感につながっていくようです。

 


6.  会計時の「料金の明確さ」がサロンのリピートのカギに

最後に「会計~来店後」のサロンのリピートポイントを見ていきましょう。
1位は「料金が明確・分かりやすい」です。5位にも「料金の説明が丁寧」とあり、会計がしっかりとしたサロンほど「またリピートしたい」と思うお客さまが多いです。

まつげエクステンションは、商材、本数、長さ等によって価格が変わりますが、経験が少ない方には、よく分からないと感じる方も多いのではないでしょうか。中には、知らないうちに思ったよりも高い施術になっていたというお客さまもいらっしゃるのかもしれません。

しっかりとした技術だけではなく、その技術はどういう金額になるのか?ということをお客さまに分かりやすく説明できるサロンは信頼され、リピートにつながっていくのでしょう。

今回はサロンのリピートにつながるポイントをMOTのフレームを使って紹介してきました。
お客さまのサロンのリピートポイントは、技術以外に「カウンセリング」が重視されており、「予約」「受付」「待ち時間」「会計」などお店の運営自体が評価ポイントになっていることが分かりました。最初にお伝えしましたが、お客さまが「サロンの印象を決める決定的瞬間」はスタッフと接するあらゆる瞬間にあります。ぜひ今回ご紹介した「MOTサイクル」を、サロン運営の点検ツールをとして使ってみてください。

 

データ出典:ホットペッパービューティーアカデミー

「顧客満足(MOT)調査<アイビューティーサロン編>」(2022年6月)
調査対象:1,000人(全国20~59歳女性)アイビューティーサロンのリピート意向者
調査実施時期 2021 年 6 月

【協力】 NPO法人 顧客ロイヤルティ協会 
今回の調査のもととなっている「MOTサイクル」は、「顧客ロイヤルティ協会」の協力のもと、制作しています。
<NPO法人 顧客ロイヤルティ協会>
“日本のCSの父”と呼ばれる佐藤知恭氏による「顧客ロイヤルティ理論」を社会に広く伝えるために、CSマインドを持つ人材の育成や企業をはじめとする組織への支援を行う。
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<寄稿>
田中 公子(たなか きみこ)
ホットペッパービューティーアカデミー研究員
前職は経営コンサルティングファームでIT業界の業務改善に携わる。リクルート入社後、ホットペッパービューティーの事業企画を経て、2012年から現職。
調査研究員として、「美容センサス」をはじめとした美容サロン利用調査や、美容消費の兆しを発信。
セミナー講演、業界誌・一般誌・テレビなど取材多数。(共著『美容師が知っておきたい50の数字』『美容師が知っておきたい54の真実』(女性モード社)ほか)​